育児休業給付の延長に関する審査の厳格化について

雇用保険の雇用継続給付の一つである「育児休業給付金」は、育児休業中の所得を保障する給付として広く利用されています。

この育児休業給付は原則として子が1歳になるまでですが、「子が1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合」には、1歳6か月または2歳に達する日まで延長することができます。

この給付延長を狙って意図的に保育園に落ちる行為が行政事務に負担をかけていること、などの理由から来年度以降延長の際の審査が厳格化されることが予定されています。

以下、現段階の情報について紹介します。

◆延長申請のタイミングと要件◆

育児休業給付の延長申請ができるタイミングは①子が1歳に達するときと②子が1歳6か月に達するときの2回です。

それぞれのタイミングで「引き続き休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合」にこの給付は延長されます。

具体的には「子の1歳誕生日等から保育園等に入所させるべく市区町村等自治体に利用申し込みをしていたが、定員に達していたため保留扱いとなった」という状態を示す保留通知書を提出しなければなりません。

◆改正の概要◆

「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について当面その実施が行われない場合について、速やかな職場復帰を図るために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限る」という要件が加わる予定です。

この「速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合」について、次の要件等が盛り込まれる予定です。

 

・利用を申し込んだ保育所等が、合理的な理由なく、自宅または勤務先からの移動に相当の時間を要する施設のみとなっていないこと

・市区町村に対する保育利用の申込みにあたり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないこと

 

◆「落選狙い」の判定はできるか◆

実際のところ、保育園選びには各園の入園の難易度、立地、利用者の自宅との距離、園の保育方針や保育の質など様々な要素があるため、「落選狙い」であるか否かをハローワークが判定できるのかという疑問が残ります。

現段階では「2025年度」から給付の延長を申し込む際に、詳細な保育所の申し込み内容などを記した申請書を求められる方向のようです。

過去、一部の自治体では育児休業延長希望者に形式的な手続きで保留通知を発行していたこともあるようですが、来年からは厳格な審査があることを見越して保育園探しを進めなければならないことが予想されます。